新型コロナウイルス関係で本当か嘘かわからぬ情報に振り回されている私たちです。その中、イタリアの校長先生が生徒に送った手紙が世界中で話題になっています。
休校中の心得、とでもいえましょう。
中にこのような一文がありました。
「デマに翻弄されず、休みの間もふだん通りの生活を続け、良質な本を読んでください」
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現在、猛烈な勢いで新型コロナウイルス感染者が増えているイタリア、ついに大学も含めた休校が決定されました。
休校に続き、一部都市の封鎖が決定され、さらに混乱しようとする中、落ち着く方法を校長先生はお書きになっています。
その中の一つが読書です。
現在、長崎県大村市にある実家で過ごし、ミライon図書館に通っては好きな本を読んでいる私にとって、今回の校長先生の手紙は特別に考えさせられるものとなりました。
読書をすることで気持ちが落ち着くことを日々経験をしているからです。
好きなだけ本を読める環境に身を置いてみて自分が変化したこと。それは自分を縛っていたことからの解放。
こちらは昨年長崎市から大村市へと移転してきた県立図書館です。
全国で5番目に大きいそうです。
一度に50点まで借り出しできます。
日本に帰国してからすぐに読みたかった本をオンラインで検索をして、ノートに書き留めた本のタイトル。
わくわくして図書館へと足を踏み入れたのが1月のお正月休み明けでした。
ダン・ブラウンのオリジンや、心理学などの本、料理やハーブの本を番号頼りに書棚を歩きまわると、まったく知らない本がたくさんあって、まさに本の宇宙、興奮してしまって、結局、書き留めていた本はその宇宙の果てに消えていきました。
書棚の間を全部歩きました、歩いて初めて分かったことが自分の興味あることが分類されるのが一つでないこと、例えば、ハーブが好きだけれども
①趣味の範囲内のものは家政学の近く
②農業に近い内容になれば、農業や林業の書棚
③アロマテラピーや薬草になると薬学の棚
実は薬学の書棚にはまってしばらく本を読んでいましたが
その後ろには宇宙、地学、その次が哲学などになっていき、分類が面白いし、書棚の配列が見事すぎて、本一冊をどこに置くかということもとても大切であることに気が付きました。
2か月図書館に通って読んだ本の中で影響を受けた本は2冊です。
以前、新聞の書評で知った
歩くことの精神史
とても分厚い本で歴史上の人物と歩くことや巡礼など書いてありましたが、最も心に残った章は女性が一人で外を歩けることは人類史上、つい最近の事ということでした。
もちろん、現代でも女性が一人で歩くことは
危険な国もありますし宗教上の理由で難しい国もあるかと
思われます。
女性が自由に外を歩けるまでどのくらいの時が必要であったのか、一人で歩けることが普通ではなかった時代の長さを考えると現代の我々の環境がいかに恵まれているかということ。社会を変えてきた多くの人たちの犠牲と勇気を思うと涙が出てきました。
そして薬学
薬学の歴史を偶然手に取り読むことになりましたが、内容が歩くことの精神史と被るところがありました。
ドイツなどの製薬会社のことや、爆薬の話、そして今、女性が自らバースコントロールができる時代になった意味、ピルが生まれた経緯など書いてあり、どの章も印象深く、結局、この本は新品を注文してオランダに持ち帰ることにしました。
女性の自由について意識して手にした本ではありませんでしたが読み進めてみると、同じテーマが上がってきたので偶然ではありましたが、今自分が読むべき本に当たったということです。
そして、私が個人的に疑問になっていたことの答えが「薬学」の本に記されていました。
それは中世、魔女と呼ばれた女性たちは誰に虐げられてきたのかということです。説はいろいろとありますが、原因は教会であったことは明確。魔女と呼ばれた女性が治療に間違うと命がけであったことや、魔女狩りでは水攻め、死ねば人間、水から浮き上がれば魔女という逃げられない状況に追い込まれたことや
また、幻覚症状をもたらす薬草などを知っていたのは、それがないと苦しすぎる日常生活が普通であった時代の話であります。一服してひと時現実から逃れる方法であったこと、どれだけ辛い日々であったのでしょうか。
個人的に薬草や自然療法勉強している身をしては、ここははっきりさせたかった部分であり、オランダでも調べましたがなかなか情報が出てこず、たまたま昨年、我がB&Bに滞在したバイオリニストがスペインからの留学生で、古楽を専攻、その関係で魔女の歴史に詳しかったのです。
水攻めの話をされたときに、どうして人間はそんなことやったんだろうね・・ととても気になっていました。
辛い日々が多かったのだなと
今の世がとても生きやすいことを考えると、本を読んで勇気をもらいました。
そして、書棚を歩き、知らなかった本に出会う度に自分自身が何からか解き放たれる錯覚までありました。
やっと出会えたと思える本もあり、一人静かに喜ぶ日々が続いていました。
読む本の選び方
私は図書館で歩き回り書棚を全部確認して隅々まで見ました。手が伸びる、足が止まる、それは思ってもいなかった本のタイトルや、未知なる世界のこと、過去のことなど、自分でも驚きました。
私が読みたかった本は実はこれなんだ!という驚きでした。
今までもたくさん本を読もうと思ってアマゾンをポチり、頼んだ本、オランダに持ち帰っても読まなくて積みあがっている本を思うと、なぜ、図書館でここまでわくわくするのか、それが最初わからなかったのですが、理由ははっきりしています。
誰かが読んでいて、おもしろそうだな、と思って注文した本は間接的であったことが理由に挙げられます。心から自分が読んでみたかった本ではなかったことや、AIにひっぱられて出会っていた本は当たり前すぎてとても面白くなかったということです。
図書館という本の海に身を投じた今、私はとても自由を感じます。
自分の読書傾向が偏っていると思っていて、図書館に読みたい本がないのではないのかという不安も一瞬で消えました。
占星術で有名な鏡リュウジさんの本もたくさんありますし、高価な本は奥に保存されて、カウンターで出してもらうことにもなります。
あなたや私が誰かという問いに答えてくれる本たちが待ってくれています。
図書館は最上級のセラピールームです。
歴史が疑問に答えてくれることもあります。
たくさんの本に触れたときに、気が付けなかった自分の興味に気が付くことができますし、いろいろな分野の本に触れてみることをお勧めします。
例えば、私はセラピストでもありますので、セラピーや人体についての本も読みますが、同時にビジネス本や経済系の本、IT関係も料理の本も読みます。
自分自身、この読み方は気に入っています。
外出を控えるようになっている今、すこし視野を広げて本を読んでみることを皆様にもお勧めします。
良質な時間を持つことができます。
この非常時に落ち着いて本を読むことも意味があることですので、ぜひお試しくださいね。
次のブログは「歩くことの精神史」を読んだ後に変化した
私の散歩について書きます。
Shoko